福岡地方裁判所 昭和58年(わ)1119号 判決 1983年11月11日
裁判所書記官
石橋厚児
本店の所在地
福岡市中央区谷一丁目一二番三六号
法人の名称
株式会社 宇治川商店
代表者の住居
同市同区平尾三丁目二六番一五号
代表者の氏名
宇治川満
本籍
佐賀県佐賀郡富士町大字上熊川一三八〇番地
住居
福岡市中央区平尾三丁目二六番一五号
会社役員
宇治川満
大正七年一月一五日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官津野正文出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人宇治川満を懲役一年六月に、被告会社株式会社宇治川商店を罰金二七〇〇万円に、各処する。
被告人宇治川満に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社株式会社宇治川商店は、福岡市中央区谷一丁目一二番三六号に本店を置き、送電用架線資材の販売、送電線鉄塔建設基礎工事等を目的とする資本金四、八七五万円の株式会社であり、被告人宇治川満は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人宇治川において、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外しあるいは架空の工事原価の材料費を計上して簿外預金を蓄積する等の方法により所得を秘匿したうえ、昭和五五年三月一日から昭和五六年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五六九、一五七、二三一円あったのにかかわらず、昭和五六年四月三〇日、同市早良区百道一丁目五番二二号所在の所轄西福岡税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三〇七、八五六、〇一三円でこれに対する法人税額が一一八、三一八、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二二二、八三五、六〇〇円と右申告税額との差額一〇四、五一七、三〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人宇治川満の当公判廷における供述
一 被告人宇治川満の検察官に対する供述調書
一 被告人宇治川満の大蔵事務官に対する質問てん末書八通
一 永吉實男及び堺博幸の検察官に対する各供述調書
一 永吉實男(七通)及び堺博幸(四通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一 大蔵事務官作成の査察官調査書五通
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書及び脱税額計算書説明資料
一 宇治川満作成の上申書
一 堺博幸作成の上申書四通
一 検察官作成の電話聴取書
一 登記官作成の登記簿謄本
一 押収してある確定申告書一綴(昭和五八年押第三七九号の一)
(法令の適用)
被告人宇治川満の判示所為は、行為時においては昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一五九条一項に、裁判時においては右改正後の同法一五九条一項に該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があったときにあたるから刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、所定刑中懲役刑を選択し、その刑期の範囲内で被告人宇治川満を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
また、被告会社株式会社宇治川商店については、昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項を適用し、その所定金額の範囲内で被告会社を罰金二七〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 池田耕平)